ヨシキリザメは乱獲か?

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110213/erp11021311500004-n1.htm

12日付の英紙ガーディアンは宮城県気仙沼港のサメ漁を取り上げ、フカヒレスープの材料として高値で取引されており、漁獲量が激減したとの記事を掲載。「乱獲は生態系のバランスを崩す。捕獲国は保護に向け行動しなければならない」とする自然保護団体の意見を紹介、批判的に報じた。

 地元の漁師が水揚げされたサメからヒレを切り取っている写真も掲載。同紙によると、日本のサメの漁獲量は40年以上前は約6万5千トンだったが、2009年にはほぼ半減した。

 また、日本で取引されるフカヒレの90%が気仙沼港で水揚げされ、東京や香港に出荷されると説明。気仙沼港のサメ漁獲量の80%を占めるヨシキリザメは、国際自然保護連合(IUCN)により、生息条件の変化次第で絶滅の恐れが出てくる「準絶滅危惧種」に指定されていると指摘した。(共同)

で、準絶滅危惧種っていうのは、
http://www.iucnredlist.org/technical-documents/categories-and-criteria/2001-categories-criteria#categories
ここより

NEAR THREATENED (NT)
A taxon is Near Threatened when it has been evaluated against the criteria but does not qualify for Critically Endangered, Endangered or Vulnerable now, but is close to qualifying for or is likely to qualify for a threatened category in the near future.

訳すると
現段階では絶滅危惧IA類、絶滅危惧IB類、絶滅危惧II類を満たす基準には達していないが、近い将来絶滅危惧種の基準に近づく若しくは可能性のある分類群。
って、ことで、激減が事実ならば近い将来でなくて現在絶滅危惧の筈。しかし今も準絶滅危惧種ってことは激減って言っていること自体が疑わしい。

ヨシキリザメが減ってないという気はないけど、近い将来に絶滅が危惧される必要はないと思うし*1、絶滅なんてしないと思うので、この書き方は変に危機感を煽っている感じがする。
現在少なくとも3万トンクラスで漁獲がある対象種で、日付変更線より向こうではほとんど取っていないのに、どうやって絶滅するって言うんだ?
それに、漁獲量は減っているが資源動向を表すCPUEは増えているくらいだ。
http://kokushi.job.affrc.go.jp/H21/H21_37.html
40年前の漁獲量も水産庁の報告見る限り3万トン前後で変わっていない。
勿論40年前の統計が信用できないとしても(サメは洋上鰭きりをずっとしており、近年禁止された。)、6万トンという数字はどこから出てきたのだろう?
元の記事は
http://www.guardian.co.uk/environment/2011/feb/11/shark-fishing-in-japan
これか。

Japan caught about 65,000 tonnes of sharks just over 40 years ago, according to the country's fisheries agency; by 2009 that had almost halved to 35,000 tonnes.

ソースは書かれていないね。何処のデータだろう?

(追記)
どうやら、40年前は気仙沼であがった全てのサメ類の漁獲量らしい。
で、今はヨシキリザメだけの漁獲量。
えーかげんな新聞記事だと言うことだけは分かった。

*1:基準がおかしいので絶滅危惧種になる可能性はある。また、漁業のほうは危機感を持つ必要はあると思う。燃油大高騰+デフレで漁業として成り立たなくなる可能性は十分にある。