観測誤差に関して

昨日の続き

どういった場合に観測誤差の分散が変わることになるか?例を出して説明してみる。

例1
ある研究室では継続的にある海岸での種数調査を行っている。
これは、その研究室に所属する4年生や大学院生が中心となって行っている。

この場合毎年の観測者は4月に研究室に配属されてから種数調査を行いだし、一年を通じて種数調査を行うと、観測者のスキルは4月から時が進むにつれて向上していく。

そのため観測誤差は一年の間で4月をピークに減少していくことになる(バイアスのある誤差はこの場合考えないとしても、見落とし率や誤認率が減少するため観測誤差の分散は減少すると考えられる)
そうなると、真の種数の増減に関わらず、4月から種数は減少傾向を示すことになる*1

また、学生は卒業していくため観測者のスキルによっても観測誤差の分散の増減が予想され、それが見かけ上の年変動を出しうる。

例2
ある漁業の個体数の年変動を見るとする。
データは処女資源からの漁獲データ/漁獲努力量(CPUE)があったとする。

処女資源のため初期の頃は漁師は試行錯誤を繰り返し漁獲を行うことになる。
そのため、CPUE自体は低くなる。
しかし、分散は増加する。

そのため、実際の資源量が変わっていなくとも、元々CPUEは増加傾向を、また分散の変化に伴い予測値は現象傾向へ偏った値となりうる。


と、様々なケースでこの問題は考えられると思われる。
また、非線形回帰する場合にはよりこの問題は大きくなると思われる。

*1:もちろん真のトレンドがあるので必ずしも減少するとは限らない、真のトレンドよりも減少傾向が助長されると言ったほうが正確かも?