研究費の不正利用

研究成果公開促進費の不正利用や松本教授の例も含めて色々見つかっているけど、これで研究費を減らす方向に動かれると、ますます若手の研究者は苦しい状況になっていくと思う。

opilioの同僚で精力的に野生生物の生態研究をやっている人なんかいるけど、生態研究の場合論文生産速度は例えば遺伝子研究なんかに比べると明らかに遅い。

その中で「研究費が取れない」→「大規模な観測ができない」→「成果を挙げる速度が落ちる」→「研究費が取れない」*1という負のサイクルに入ってしまっているような人も多数見る。

そもそも、科研費の萌芽研究の分野こそ採択率と予算幅の自由度を最大限にあげるべきものだと思うけど、今は一応やってますよのポージング作りにしか思えないみみっちいもの。
その上、元評価委員の先生に聞くと、萌芽研究でさえ「この研究は失敗する可能性が大きい」という理由で落とされることもままあると聞く。

何のための萌芽研究なのだろうか?萌芽研究は「成功した時の独自性が大きいか小さいか」をこそ、最重要視して判断するべきだと思う。

で、不法使用を防ぎたいなら、予算計上や使い方の部分を厳しくするのではなく、全ての採択課題に年10万円ほど公認会計士による監査費用をつけて、監査をやればよいと思う。
そうすれば少なくとも普通の一般会社並の正当さを保った使用が行われると思うし、研究者側への負担も少なくなると思う。
今の制度は真っ当に運用している人にどんどんしわ寄せが増えていく方式で、研究予算をとるための仕事が重くのしかかって研究が進まないなどと言う本末転倒なことになると思われる。

そして、その結果が『大学史上かつてない構造的大ストレス時代』となるわけか。
やはり、研究職を続けたいのならば、日本の大学からは逃げ出すべきなのかもしれない。

*1:それ以前に「職が得られない」→「成果が挙げられない」→「年齢が上がる」→「職が得られない」という負のサイクルの人ももっとたくさんいる。